[話が面白くないやつは余計な個性をぶつけてくる - お笑い芸人のちょっとヒヒ話]

これは重要です。話やお笑いに限らず。
ネットとテレビというくくりで話をされてましたが、
ネットでもしかりだと思いますよ。というか、ネットのほうが
余計にシビアかもしれない。

大谷「そう!分かるんですよ、お前の個性とか世界観は分かるんだけど、話を広げるってそういうことじゃないと」

たとえば、「好きな女性の話」で、そこにいる誰も知らないヒトの話をしだすと、そのヒトの説明と理由だけで終わってしまう。しかも説明や理由はたいして「おもしろ」ではない。よって、現在、それを聞いてくれる場はテレビにないと。
たしかに、スパっと切り込んでそこに「成果」が生まれる話しかありませんね。

たぶん、これは時間が重要だと思うのですね。「アメトーーク」などでひな壇芸人さんたちが「取れ高」という単語を使います。これはつまり1番組でどれだけの成果を得ることができたのか?って話です。もちろんたくさん笑いをとったヒトが勝ちです。
で、ひと番組あたりの時間というのはたいてい決まってますし、その中で自分の出番というのは限られてます。そこできっちりと笑いを取るためには、「笑い」が少なくなるリスクを犯してまで「説明」や「理由」をいってらんねえって。ひとことでひと笑いが起きるくらいで、クチを開いたからには笑いまでたどりつく必要があるわけですね。

よく「すべらない話」に出演するとき吐くほど緊張するってのはそれだからこそなんですね。
「話」なワケで、クチを開いた以上は、かならず笑いまで導く「話」をしなければならないわけで、それは一発ギャグやリアクションではなく、会話の中のヒトボケやフタボケじゃなくてひとつの完結した世界であり笑いになっていなければならず、長ければ長いほど、それにみあった「笑い」が必要になっていくわけです。

大谷「ネットなんですよ!ネットだけはその説明聞いてくれるんです、ブログとかで、ところがテレビは絶対そんなの許さないですよ!テレビはB級グルメに詳しいと言ったらB級グルメの情報だけ、『牛丼だったらあそこがいいですよ、なぜならナントカだから』、もう秒数で言ったら5秒ぐらいで結果出さないといけないんです、理由を長くしゃべっても全部カットされるんです」

ネットでも実は「必要以上」の個性や、付加があると、とたんに避けられるようになるとは思うのですよ。

つまりはノイズですね。テレビほど高い純度を求められているワケではありませんが、ネットにおいてもアクセスの多いところの純度は高いです。ムダな要素はできるかぎり排除してあります。

そして、読者は「それ」だけ求めているのです。それ以外はすべてノイズ。

たとえば、「おもしろ画像」を収集していたサイトがニュースサイト的なネタにひとことコメントやるとそれはノイズです。
たとえば、ニュースサイトが羅列した記事のあいだにamazonアフィリエイトを仕込ませるとそれはノイズです。
たとえば、ゲームネタ、マンガネタを繰り出していたところが、突然政治について語りだすとそれはノイズです。

これみんなポ☆ニューのことですよ。

ただ、発信する側は、そのノイズこそが楽しかったりするんですよねー。それで「そういう場」として設定したtwitterが人気だったりします。ここは100%ノイズです。

そいで重要なのは、お笑いのヒトはおもしろい話をしなければならないけど、ネットのヒトは別におもしろくなくてもいいんです。なぜながらこれで食ってるワケじゃないから。ま、いわば「あらびき団」でいいんですよ。

ちなみに「話がおもしろい」とは、おれが考えるに、「おもしろくないところ」を飽きさせずに聞かせる能力があるヒトだと思うのです。

「おもしろ」ってゴールがある話をするにあたり、そこにいたるまでの道のりは短ければいいのですが、どうしても必要なところってのはあります。
そこに「おもしろ」をいれるってのは前記の「個性」ってのといっしょでムダの極致です。説明は短く全速力で駆け抜けないといけません。でも、その途中で飽きたら台無しですし、必要なことを盛り込まないのもダメです。
つまり、「おもしろい話」の勘所はおもしろいところじゃなくて、おもしろくなる前のところじゃないかなと思うのです。

すなわち!

前戯重要!

おれがおもしろいなと思ってる芸人さんはすべてその「プレおもしろ」の部分が上手いです。テクニシャンです。潮ピューです。下品です。長文疲れました。