「徐々に、会社に行けなくなったんですよ。それまでは、夜中の3時ぐらいに家に帰っても、上司の相手で飲みに行っても、ちゃんと朝起きて、会社に行けてた。それが、目は覚めるんだけどエンジンかからない。電車に乗る段階で動けなくなる人とか、色々なパターンがあるらしいんですけど、わたしの場合は、ベッドから『よいしょ』って起きるところが駄目だった。家から出なきゃいけない時間なのに、何もしてない……。
ある日、会社に連絡することもできなくなった。始業時間を過ぎて、職場から電話がかかってくるんだけど、欠勤の連絡が出来ない申し訳なさで、出られないんです。結局、上司から『君と連絡取れなくて、行方不明だって騒ぎになってる。連絡しなさい』ってメールがきて、その段階で、お休みを取ることになった。結局実家に帰って、3ヶ月ぐらいは寝たきりでしたね。うつって、本当に寝たきりになるんですよ」

誰でもなるらしいですし、こうやってみてみると、あれおれももしかしたら?って感じが。おれはその前に辞めたんですけど。

医師と会社のすすめもあって、復職のためのトレーニング(著者注:いわゆるリワークと呼ばれる)を、専門の施設で受けました。半年ぐらいやりましたね。
レーニングは、まず服を着るところから。Tシャツとかじゃなく、仕事で着るような服ですね。平日の朝9時半ぐらいに、病院の施設に行って、同じような境遇の、スーツを着た人たちとラジオ体操をして、作業をはじめます。作業っていうのは、グループワーク。あんまり負担が大きいことをやってくと、脱落する人が出るので、籠を編んだりとか、ドリルやったりとか、ペーパークラフトをやったりとかですね。夕方の、3時半には終わります。こんな風に、最初は週3日から初めて、最終的には週5日ぐらい行ってました。結局、振り返ったら休職期間の大半を復職のトレーニングに費やしてましたね。

勉強になるわ。誰でもなるらしいですし。